近年、SNSやオンライン掲示板、口コミサイトなどに投稿されるコンテンツの管理がますます重要になっています。しかし、膨大なコンテンツの量に対処するには、多大なリソースとコストが必要です。そこで、AIと有人監視を組み合わせた「ハイブリッド監視」が注目されています。本記事では、AIと有人監視の強みをそれぞれ紹介し、両者を組み合わせることで、質を維持しつつコストの最適化を図る方法を探ります。
1. デジタル時代におけるコンテンツ監視の多様化と課題
■ ユーザー生成コンテンツ(UGC)の爆発的増加と多様化
現代ではテキストや画像に加えて、動画コンテンツの生成も急増しています。このような多様化は、ブランドやプラットフォームが維持すべきコンテンツの品質基準を守るための監視をより複雑化させています。従来の手動チェックでは、大量のコンテンツを効率よく監視することが難しく、結果としてリソースの増加や遅延が問題となっています。
■ 監視における速度と精度の課題
ユーザー投稿コンテンツが急増する一方で、違反や不適切なコンテンツを見逃すことなく迅速に対応する必要があります。画像、テキスト、動画の監視は、特に動画コンテンツが増えることでチェックに多大な時間がかかる状況です。こうした背景から、AI×有人のハイブリッド監視が注目されています。
2. AIによる監視の強み
AIは、膨大なデータを瞬時に処理する能力があり、特に以下の点で優れています。
スピードとスケーラビリティ
AIは、大量の投稿を一度にスキャンし、不適切なコンテンツを短時間で検出することができます。人間が対応するには時間のかかる作業も、AIであればリアルタイムで対応可能です。パターン認識と学習能力
機械学習により、AIは投稿のパターンや特徴を学び続けることができます。例えば、特定の言葉や画像を利用したスパムや不適切なコンテンツの傾向をAIは素早く認識し、その都度適応することが可能です。コスト効率
一度システムが導入されれば、人件費を削減しながら、大規模なモニタリングが可能となります。AIは疲れませんので、人間と違い時間の制限もありません。判断がばらつかない
明確なルールや定義に沿って判断されるため、人間のように判断にブレが生じません。多言語にもスムーズに適応
有人監視であれば、その言語を理解できる人材をアサインしなければならないが、AIであれば採用をせずにシステムを調整することで開始できます。
■ AIはパターン学習がとても得意
AIは機械学習によって多様なシーンをさらに学習し、検出範囲を広げていくことが可能です。導入初期に多くの学習コンテンツを入れることで高精度なフィルタリングが実現できるため、早期に導入効果を発揮します。
- アダルトやグロテスクなコンテンツを判別すること
- 硬貨やお札など表記パターンが明確になったものを見つけること
- 大量画像から特定の顔を判別すること
- 画像コンテンツを文字におこすOCR技術が画質などできちんと判別できない場合もある
- 過去データを学ぶため、新しいトレンドやネットミームなどに適応できない可能性がある
<得意なケース例>
学ばせたいパターンをうまく学習させることで、可能性は無限大です!
<不得意なケース例>
AI監視を導入した場合は、継続して学習させる機能を持つことが必要となります。
3. 有人による監視の強み
一方で、人間の監視には、AIにはない「判断力」と「コンテキスト理解力」という大きな強みがあります。
コンテキストを理解する力
AIは明確なルールに基づいて判断しますが、曖昧なニュアンスや文化的な背景、文脈に依存する判断は苦手です。例えば、冗談や皮肉、コンテキストによって意味が変わる表現を理解できるのは、やはり人間の力です。倫理的判断
一部の投稿は、AIによる技術的な判断においては問題ないと見なされるかもしれませんが、倫理的判断の観点から不適切である場合があります。倫理的判断は、まだAIにとっては難しい領域であるため、人間による判断が重要になります。柔軟な対応
特定の状況や突発的な事象に対して、即座に適応し、適切な対応を行う能力は人間ならではの強みです。
4. ハイブリッド監視によるコストと品質の最適解
AIと人間それぞれの強みを活かすことで、最も効果的なモニタリングが可能になります。ハイブリッド監視では、AIが大量の投稿を瞬時にスキャンし、疑わしいコンテンツを自動的にフラグ付けします。その後、人間がそのコンテンツを確認し、最終的な判断を下す流れが一般的です。
コストの最適化
AIがまず1次スクリーニングを行い、明確にわかるNGを検出します。その後、人間が判断しにくい物をチェックすることで、工数を大幅に削減することが可能です。これにより、少人数のチームで大規模なモニタリングを実現し、費用対効果が向上します。チェック精度の向上
AIが高精度で違反コンテンツをスクリーニングし、人間が最終的なチェックを行うことで、誤検知や見落としが減少し、全体の精度が向上します。継続的なAIの進化
有人監視を通じて得られた判断データは、AIにフィードバックされ、機械学習によってAIができることの範囲が拡張されます。これにより、AIが自動的に処理できるコンテンツの範囲が広がり、結果として監視プロセス全体のコスト最適化が可能となります。
5. ハイブリッド監視サービスで実現する未来
AIと人間、それぞれの強みを最大限に活かしたハイブリッド監視は、投稿コンテンツの質を守りながら、コストの最適化を図る最善のアプローチです。今後ますます膨大になるオンラインコンテンツの管理において、このアプローチが多くの企業に採用されることが期待されます。
イー・ガーディアンは投稿監視事業で創業して以来25年以上、自社開発したAIソリューションと組み合わせて、企業の様々な課題を解決してきました。
■ 豊富な投稿監視実績と環境を保持
インターネットの黎明期の掲示板やBBSが主流だった時代より投稿監視事業で創業し、インターネットの発展と共に事業拡大してきました。
■ AIソリューションを自社開発
有人監視の効率化を図るために自社で有効な監視システムを積極的に自社開発し有人監視運用に導入しています。最近では、2024年5月にノーコード型画像認識AI「ROKA Custom」を開発、社会問題となった著名人を使った詐欺広告の検知に有効なシステムとなりました。このように監視したいコンテンツに合わせて最適なAIを提案しています。
6. まとめ
今回はAI監視と有人監視のそれぞれの特長を紹介しながら、最適な監視手法を紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
AIと有人監視を組み合わせたハイブリッド監視は、コンテンツの質を守りつつコストの最適化を実現する最善のアプローチです。イー・ガーディアンのような豊富な実績と最新のAI技術を兼ね備えたパートナーと共に取り組むことで、企業は安心して安全なオンライン環境を構築することができます。今後のオンラインコンテンツ管理において、ハイブリッド監視がますます重要な役割を果たしていくでしょう。
こちらの記事が何かのお力になれましたら幸いです。