こんにちは!イー・ガーディアン ソーシャルメディアチームです。我々は常日頃からSNSの声を観測し傾向を分析・サマリー化をしており、企業の皆様に課題解決・マーケティング活用・リスク検知等で活用していただいております。こちらではより一般的・社会的なテーマに焦点をあてて、ビッグデータを活用したソーシャルリスニングの面白さをお伝えできればと思います。

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 初回は“2020年東京オリンピック”について。
いよいよ開催まで1年をきりましたが、SNS上の話題はどのような傾向なのでしょうか。2013年以降の”オリンピック”にまつわる話題の量と傾向を調査してみました。

最近1年間はネガティブが上昇中?


2013年以降 オリンピック関連 月間話題量推移

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※調査期間:2013年1月1日 ~ 2019年8月18日
※調査メディア:Twitter
※キーワード:”オリンピック”

 上のグラフは2020年の開催地が東京に決定した2013年からのTwitter上の感性(ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル)別話題量です。やはりソチ・リオ・平昌のオリンピック開催年の話題量は突出していますが、東京オリンピックが近づくにつれ、平常時の話題も徐々に増加していることがわかります。開催地が決定した2013年当時は東日本大震災の影響や、政治批判で東京での開催に懐疑的な意見が多く、賛否両論の議論が起こったことは記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。その後はオリンピックでの日本人選手の活躍もありポジティブがネガティブを上回っている状況が続いているようです。気になるのは最近1年間のネガティブ割合の多さ。2018年7月以降はネガティブがポジティブを上回っている状況が続いていそうです。一体、SNSユーザーは何に対して心配をしているのか。チケット申し込みがあった2019年5月以降の詳細な文脈傾向を分析してみました。

チケット抽選で盛り上がり。開催1年前を契機に注目度増!


2019年5月~8月 オリンピック関連 日別話題量推移

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※調査期間:2019年5月1日 ~ 2019年8月18日
※調査メディア:Twitter
※キーワード:”オリンピック”

 まず、ネガティブが目立って増えているのがチケット申し込み締め切り間際の5月25日以降。Twitter上では「まじ難易度高すぎ」「お年寄りに優しくない」「電話認証ができない」と申し込み手順の複雑さやアクセス不調等によるサイトの使いにくさに困惑したユーザーが多かった他、チケットの値段や当選確率の低さに懐疑的な声が続々と上がっていました。

 その後、6月20日のチケット発表時は一日のツイート量が20万件と突破と大きく話題に。申し込み時から一転、当選者による喜びの声やそのリツイートが多くポジティブな文脈が主流になっていたようです。もちろん、落選を嘆くツイートも多く悲喜交々といった様相でしたが、落選しても「テレビで応援しまーす」「浮いたチケット代でテレビを買う」と切り替えの早いユーザーが目立っていました。

 以降、7月中は話題がひと段落していましたが、開催1年前となった7月24日以降は目立って話題量が増加。みなさん、1年後の開催を想像したのか、政治問題、暑さ、会場の環境等様々なトピックで”まともに開催できるのか”と危ぶむ声が多く寄せられています。特に8月16日にはパラトライアスロンW杯が東京湾の水質悪化で中止になり大きな話題に。翌日には競技再開となりましたが「大腸菌が死んでいなくなった」という大会実行委員長のコメントには相次いでツッコミが寄せられ、期間中2位の話題量となりました。

政治・環境など、社会的なテーマではネガティブな文脈が中心に。


オリンピック関連 テーマ別話題 感性比率

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※調査期間:2019年5月1日 ~ 2019年8月
※調査メディア:Twitter
※目視調査件数:総件数1,185,076件中、900件をランダム抽出し目視でカテゴリ分類。
※キーワード:”オリンピック”
※ユーザーボイス収集のため”オリンピック”より、リツイートとキャンペーン関連投稿を除外

 続いて、Twitter上ではどの話題が注目されているのか、5月以降のオリンピックにまつわる話題を抽出し、トピックスごとに分類をしてみました。やはり、ネガティブが目立っているのは「社会/政治/環境」のトピックス。なんとポジティブの40倍という結果に・・・。連日の暑さや相次ぐ事件、参加国等の政治的トピックに開催を心配する声が多く寄せられています。対して競技や選手に関してはポジティブがネガティブを上回り、観戦自体に期待する声が主流となっています。

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競技別ではサッカーが一番人気。今回採用のボルダリング・近代五種にも注目


オリンピック 競技別話題数

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 さらに、どの競技が注目されているのか、気になったのでこちらも調査。ランキング化してみました。 1位はサッカー。続いて、陸上、バレーボール、野球とほぼ順当な結果に。今回で初めて採用される「近代五種」に期待する声もあがっており、バラエティに富んだ内容となりました。トライアスロンについては水質問題の影響でネガティブが目立ってしまっています。
 ただ、競技についての話題量そのものは他のトピックスと比べ、注目されているとは言い難い結果となりました。現状、環境・社会的な問題点ばかりがクローズアップされてしまっている東京五輪ですが、オリンピックの主役はあくまで競技と選手。来夏の本番ではスポーツそのものが注目され、ポジティブな盛り上がりができる環境となるよう期待したいですね。