こんにちは!イー・ガーディアン ゲームリサーチチームです。

今回は昨今トレンドになりつつある、Discordのカスタマーサポートについて現状の課題点や解決策をご紹介していきたいと思います。是非、これまでのDiscord関連の記事もご覧いただき、運営の参考にしていただければと思います。

Discord運用に関するこれまでの記事
早期のDiscord運用がゲーム運営を成功に導く?!
Discord運用を活性化させる“カギ”とは?<前編>
Discord運用を活性化させる“カギ”とは?<後編>

■Discordのカスタマーサポートはどのくらい行われているのか?

現状、国内外のDiscordを使用したカスタマーサポートの実施率を見てみると、国内で約8%、海外で19%程度となっており、まだ広くは浸透していません。

Discord230424_1.png
※E-Guardian 2023年3月調べ

Discordはユーザー同士だけでなく運営側ともリアルタイムでコミュニケーションを取ることができるため、運営側にとってはユーザーと近い距離でやり取りができる魅力的なプラットフォームです。メッセージ履歴は長期間残りますし、検索もしやすく、何よりリアルタイムでお問い合わせの応対ができているという「チャットサポート」に近い安心感があります。このように従来のメールでのカスタマーサポートに比べ、より親和性の高いプラットフォームであるにも関わらず何故実施率が低いのか。今回はそのあたりの課題に触れていきたいと思います。

■カスタマーサポートを行うには、海外製のBOTを使用する必要がある

さて、ここで皆さんに質問です。

Question:
日本国内でカスタマーサポートを行う場合、基本・原則はどのようなことが挙げられるでしょうか?

question23042025362901_s.jpg

Answer:
原則、お問い合わせはクローズドな環境での実施

日本国内ではFAQなど広くナレッジを提供する手法以外は、原則、メールや電話など1対1でのクローズドなサポートが一般的です。海外ではフォーラム形式でのサポートを行うことも多々ありますが、日本国内には浸透していません。

そのため、Discordでクローズドなサポートを実現するには、下記のいずれかが必要になります。

  1. お問い合わせしたいユーザーと、サポート対応者のみ閲覧できるチャンネルを作成する
  2. サポート対応者個人とダイレクトメッセージでやり取りをする

項目1を実現するには、チャンネル作成時の権限設定が必要です。リアルタイムで設定をしないとお問い合わせ自体を行うことができません。また、チャンネル作成後にユーザーにそれを通知したり、非常に手間がかかるため現実的ではありません。

項目2は運営とユーザーが1対1でやり取りできているため問題ないように思えますが、カスタマーサポートを行うサポート対応者は複数人居ることが殆どです。この個人間でのやり取りでは、今・誰から・どのようなお問い合わせが来ていて・状況はどうなっているのか、という重要情報が、メッセージを受け取った本人しかリアルタイムで確認できません。

このような事態を解決するために、BOTを利用します。チケットBOTと言われる種類のBOTを選定することになりますが、現在は「Ticket Tool」というBOTが主流となります。(2023年3月現在)

Ticket Toolは、Discordに投下されているメッセージ内の「お問い合わせボタン」を押すことで、お問い合わせしたいユーザーとサポート対応者のみ閲覧できるプライベートチャンネルを自動的に作成します。

つまり、そのチャンネルが作成された=新着のお問い合わせ、ということになり、サポート対応者はそのチャンネルの内容を確認し、チャットでサポートを行うという流れになります。

Ticket Toolを利用することで、カスタマーサポートは問題なく行えるように思えますが、実はまだ解決されていない大きな課題があります。この課題の影響で「Discordのカスタマーサポート」が浸透していないのです。

■Ticket Toolや類似BOTでは「過去ログ」を残すことが難しい

もう表題に出してしまっていますが、このTicket Toolでは「過去ログ」を残すのが難しいのです。カスタマーサポートの品質を向上させるためには、これまでのお問い合わせ履歴や、そこから培われた様々なナレッジが重要になります。

サポート対応者は常に、この「過去ログ」を確認しています。同様のお問い合わせが過去になかったか、あればどのような対応をしたのか。該当ユーザーからこれまでにどのようなお問い合わせがあったのか。このような情報を確認・整理し、最適な返答ができるように努力するわけですが、Ticket Toolやその類似BOTでは「過去ログ」を確認できないのです。

厳密に言えば「お問い合わせ1通ずつ」のログを出力することはできます。ですが、「過去ログをまとめて閲覧」するには、ひとつひとつのお問い合わせを他ツール(エクセルやスプレッドシート、もしくはRedmineのようなプロジェクト管理系ツール)へ手動で転記する必要があります。これは多くの工数を必要としますし、人為的ミスの大きな原因にもなります。

これが、Discordがカスタマーサポートとの親和性が高いにも関わらず、浸透していない大きな原因、課題なのです。

■そこまでしてDiscord上でカスタマーサポートを行わなくて良いのでは?
 答えは、No。「絶対」にカスタマーサポートを行うべきその理由

これまで挙げてきた課題がある中でカスタマーサポートを行うことは、現実的ではないように思えます。ほとんどのタイトルがそのような判断で、Discordのカスタマーサポートを開始していないと考えられます。

しかし、Discordに参加しているユーザーは、これまでの記事でもお伝えしてきた通り、「コアユーザー」もしくは、それに非常に近しいユーザーです。ひとりひとりがゲームを深くまで楽しみ、コンテンツを作り、インフルエンサーにもなりえる「最重要ユーザー」と言っても過言ではありません。

ゲームの長期に渡る運営、発展を考えるのであれば、Discord上のユーザーと対話できる機会をより身近にしていくことが必要なのです。

そのため弊社では、「Discord上でカスタマーサポートを行うべき」とご提案しています。この大きな課題を解決する方法はあるのか?と疑問に思われるかもしれませんが、実は驚くほどシンプルで簡単に解決できる方法をご用意しております。

次回は、この解決方法についてご紹介していきたいと思います。

■イー・ガーディアンの「Discordトータルサポート」紹介はこちら