こんにちは!イー・ガーディアン ソーシャルメディアチームです。

先日、私たちのチームから「リコールリスク事前検知支援サービス」をリリースいたしました!リコールリスクを少しでも軽減できればと主に各種メーカー様向けへの提供を想定した内容になるのですが、リリースに向けて調査する中でふとSNS炎上の歴史に思いを馳せました。

今回は、SNS黎明期から炎上と向き合ってきた私達がSNS炎上の歴史を振り返りながら、メーカー様が今取り組むべきリコールリスク検知について語っていこうと思います。

■ SNS黎明期の炎上:「純粋なリアクションの集合体」

SNSが普及し始めた初期の頃、炎上はユーザーの純粋なリアクションから起こることが多かったように思います。

今でこそ一個人の発信で株価が下がったり、リコールリスクに繋がったり、企業の信頼が失墜したりということが起り得ますが、当時はまだ個人の発信力が今ほど強くなかったため、シェアや引用で広がった投稿が集まり、一つの大きな波を作り出し社会問題を浮彫にする傾向にありました。そのため、この時代の炎上は、不正や迷惑行為に対する怒りを反映するものだったように思います。数は少ないものの期間が長く、熱量も非常に高かった印象があります。

この時代に発生したあるメーカーの「製品情報の不当表示」で炎上したケースを覚えていますか?

一人の発信から始まり、その情報が共感を呼び拡散されて多くの人々の目に触れました。これにより、メーカー側は今まで以上に透明性を持って対応せざるを得なくなり、結果としてこの炎上が社会の公正さを促進する効果もあったのです。ほかのメーカーや企業でもインターネットでの発言がどれほど影響力を持つかを十分に理解していなかったため、思わぬ炎上に見舞われることが多くありました。

こうした数々の炎上を経て、人類は徐々に「SNSの影響力」を自覚し始めました…。(大袈裟)

■ SNS成熟期の炎上:ネットの「お祭り」に

SNSが一般的に広まり、使いこなすようになると、炎上の性質も変わってきました。この頃になると、炎上はある種のエンターテインメントとしても捉えられるようになってきました。

前述した通り、人々はSNSの影響力を自覚し「自分の投稿ひとつで何か大きなことを引き起こせるかも知れない」と感じる人が現れました。それがポジティブに働き、良い方向での「バズり」を目指す人も多くいましたが、中には炎上を「お祭り」と捉え、楽しむような人々も現れました。

黎明期の炎上とは違い、実際には関心がないのに自己顕示欲を満たすためにオーバーリアクションをする人や炎上そのものを楽しんで「もっと燃えろ」と扇動する人、0から炎上を作り出す人も現れました。

「製品への異物混入疑惑」などは有名な例ですね。購入後の製品にわざと異物を混入させ、SNSで投稿。それを目にした人々が拡散させ、大炎上するなどのケースが頻繁に起こりました。

もちろん故意であることが明るみに出て発信者が逮捕されるケースなどもありましたが、盲目的に信じた人々が故意である事実を知らないまま該当製品のメーカーそのものや製品評判に未だに不信感を抱き続けている、といったこともあるのではないでしょうか。

メーカーにとってこれは非常に厄介な問題です。自社に落ち度がある事象であればまだしも、面白半分や私怨で意図的に炎上させられるのはたまったものではありません。

■ 現在の炎上:精度が上がり「公開裁判」のような形に

では、現在のSNS炎上はどうでしょうか?

おかしな言い方にはなりますが、最近は炎上の精度が上がってきているように感じます。ユーザーは炎上にも慣れ、情報を冷静に検証する力がついてきたように思います。これにより虚偽の情報に惑わされず、きちんと真実を見極めようとする姿勢が見られるようになりました。

  • 該当の投稿は真実なのか?その証拠はあるのか?
  • 作られた事実ではないか?証拠とされる物は捏造ではないか?
  • 発信者の主観的な情報になっていないか?
  • そこにさらに「肯定派」「否定派」「中立派」「証拠を集める人」などの役割が自然と生まれてきており、まるで公開裁判のようになっているのです。

    ■ SNSは巨大なデータベースに

    実際の「裁判」で重要になってくるのは「証拠」です。自然と炎上に証拠が求められる時代になり、ユーザーは過去の投稿や発言などを掘り返し、検証し、考察するようになりました。SNSはもはやリアルタイムで投稿する場というよりも、巨大なデータベースと化していると言っても過言ではありません。

    例えば、数年前に行った発言やリプライ、インタビュー記事、プロモーションなどからの抜粋が現在の問題と関連づけられて再び注目を浴びたケースなどもあります。

    この場合、メーカーは過去の発信の意図や背景を説明し、現在の方針との一貫性を示すことで、信頼回復に努める必要があります。そのため、データベース化されたSNS上の情報もメーカーにとって一種のリスク管理が必要な領域となりつつあります。

    ■ SNSでの対応がメーカー/製品イメージを左右する

    ユーザーの探知能力は非常に高く、驚くようなところから証拠を取得してきます。これを逆に捉えれば企業が行った努力も見つけてもらえる時代になっているということです。メーカーはリアルタイムでユーザーの投稿や意見にしっかりと反応しつつ、事実を確認・検証し、迅速に発信することはもちろん過去の投稿や発言にも気を配り、リスク管理を行うことが重要です。

    製品に関する誤解を受けた際、迅速に対応し、詳細な証拠を提示することで信頼を回復した事例もあれば、製品販売直後から早々にユーザーからの懸念が上がっているのにも関わらず、把握できていなかったり、検証を後回しにしたために、大炎上に繋がった事例もあります。

    無数にある自社の製品評判への意見を把握し、個別対応/把握をしていくには時間やコストが掛かりますが、きちんと応対をしたかで製品イメージや企業イメージにも影響を与えるため、SNSリスク管理の価値がより高まってきていると考えています。

    このようにSNSの炎上は「お祭り」から「裁判」へと変貌を遂げました。

    公正に「裁かれる」今だからこそ、リスク管理を適切に行い、炎上に繋がりそうな小火が発生した時や炎上時に透明性を持って対応し、誠実な姿勢を示すことが非常に重要になってきています。対応結果によってはユーザーとより強固な信頼関係を築くチャンスにもつながります。

    ■ 今取り組むべきSNSリスク検知

    製品評判の収集は当然自社で取り組まれていると思いますが、以下の三軸でリスク検知を行うことが重要だと私達は考えています。

    • 早期のリスク検知
      どの時代も変わらず、炎上が発生した際に早期に検知できる体制は引き続き重要です。可能であれば24時間体制でリスク検知を行える体制を構築しましょう。
    • リスク把握
      ユーザーがアクセスできる範囲での過去の発信や投稿を事前に把握し、炎上時の対応に備えておきましょう。
    • 粒度の高い製品評判の収集
      自社製品が全体からどう思われているのか?だけではなく、一個人の発信を収集・検証することが重要です。
    • リコールリスク事前検知支援サービス」では上記のようなサポートが可能です。パッケージではなく各メーカー様の特性や課題に合わせた業務構築も対応しておりますので、SNSリスク検知の重要性を理解していても検知するリソースやノウハウがないなどのお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ!

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      最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。今後も長くSNSに関わる私達からお役に立てるサービスを発信してまいりますので、次回のブログもご期待ください!