今回は、SNSや比較サイトなど様々なプラットフォームの安全な運営のために、導入される「コンテンツモデレーション」を解説します。

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■ 本記事の概要

デジタル化が進む現代社会において、私たちの日常生活はますますオンラインへとシフトしています。その結果、SNSやオンラインフォーラム、ECサイトなど、さまざまなプラットフォームで無数のコンテンツが生み出され、共有されています。しかし、この膨大な情報の流れには、根強いリスクも伴います。

そんな背景から、総務省はデジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた今後の対応方針と具体的な方策について検討するため、「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」を開催し議論を深めています。他者への誹謗中傷や暴力的な表現、偽情報の拡散など、不適切なコンテンツが社会問題となっています。このような問題を未然に防ぎつつ、安全で健全なコミュニティを維持するためには、コンテンツモデレーションが不可欠です。

コンテンツモデレーションは、各種オンラインプラットフォームの信頼性を確保し、ユーザーが安心して利用できる環境を築くための重要な手段となります。では、具体的にコンテンツモデレーションとは何なのでしょうか?次に、具体的な手法や重要性を詳しく見ていきましょう。

コンテンツモデレーションとは?

■ コンテンツモデレーションの定義

コンテンツモデレーションとは、インターネット上に投稿されるコンテンツを監視し、その内容がコミュニティガイドラインや法令に即しているかを確認し、必要があれば削除もしくは非表示を行うプロセスを指します。これは、SNSや掲示板などユーザー生成コンテンツが多いオンラインプラットフォームの品質と信頼性を維持するために、非常に重要な役割を果たします。

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■ コンテンツモデレーションを行う目的

このコンテンツモデレーションを行う目的は大きく3つ挙げられます。

  1. コミュニティガイドラインの遵守
    プラットフォームごとに設けられた規則について、利用者がそれに沿って行動できる環境を整えます。

  2. ユーザートラブルの予防
    他者を傷つけるような発言や、法律に触れる情報など不適切なコンテンツを迅速に取り除くことで、ユーザー同士のトラブルを防ぎます。

  3. ユーザー体験の向上
    信頼できるコンテンツだけが集まることで、利用者が快適にコミュニケーションを楽しむことができるようになります。

このように、コンテンツモデレーションは単にネガティブな要素を取り除くだけではなく、プラットフォーム全体の質を向上させるための重要な施策です。

コンテンツモデレーションをするには?

プラットフォームの安全を守るために、コンテンツモデレーションをやりたいと考えた時に何をすればいいのでしょうか?

まず、大きく2つの準備と検討が必要です。

  1. 削除対象とする不適切コンテンツの基準を作成する
    露骨な暴力表現や著作権侵害など明確なコンテンツだけでなく、時には判断に迷うコンテンツもあります。それらをきちんと定義し、ルールやガイドラインに定め、それに違反するものは削除すると明確にします。

  2. コンテンツの投稿監視方法を決める
    毎日ユーザーは様々なコンテンツを生成します。また最近はテキスト・画像だけでなく動画での投稿も増えています。これらの様々なコンテンツタイプを人がチェックするのか?AIなどで自動でチェックを行うのか?社内体制やコストとの検討が必要です。

コンテンツの監視(投稿監視)の方法は?

投稿監視の方法は、大きく3つの手法があります。

1.AI監視

AI(人工知能)や機械学習を活用して、投稿されたコンテンツを迅速に評価、フィルタリングする方法です。この手法は、大量のデータを処理できるため、特にユーザー数の多いプラットフォームにおいては非常に効果的です。主な特徴としては以下が挙げられます。

  • 迅速性
    リアルタイムでのフィードバックが可能なため、不適切なコンテンツを即座に取り除くことができます。

  • コスト削減
    人手を介さずに処理ができるため、運用コストを大幅に削減できることが期待されます。

ただし、AI監視には限界もあります。AIが全ての文脈を理解するわけではないため、誤検出や見逃しが発生するリスクがあります。

2.有人監視

有人監視は、実際の人間が投稿されたコンテンツを確認し、適切かどうかを評価する方法です。この手法は、特に複雑で微妙な判断が求められるケースに適しています。有人監視の主な特徴は以下の通りです。

  • コンテキストの理解
    人間は文脈やニュアンスを理解できるため、微妙な表現を適切に評価できます。

  • コミュニティの声の反映
    ユーザーから不適切なコンテンツの申請を聞く相談窓口が設けられることが多いですが、相談内容から監視基準のブラッシュアップが随時できる参加型のモデレーションが可能です。

一方で、有人監視は労力と時間がかかるため、リソースが限られる場合には効率性が課題となります。

3.AI×有人のハイブリッド監視

AI監視と有人監視のそれぞれにメリット・デメリットがあるため、それぞれのいいとこどりをするハイブリッド監視もあります。

AIを使ってスピーディに効率よく監視しながらも、有人のチェックで監視精度をあげることができるため、一番効果的なソリューションとして挙げられます。

コンテンツモデレーションのメリット

コンテンツモデレーションには、さまざまなメリットがあります。以下に主な利点を紹介します。

ユーザー体験の向上

モデレーションにより、ユーザーが安心してコミュニケーションできる環境が整います。これにより、ユーザー同士の交流が活発になり、プラットフォーム全体の活性化につながります。健全なコミュニティは、利用者の忠誠心を向上させ、リピート利用を促す要因ともなります。

ブランドセーフティ

コンテンツモデレーションは、自社のブランドイメージを保護する上で重要な役割を果たします。ネガティブなコンテンツや不適切な情報が公開されると、消費者の信頼を損ねる可能性があるため、事前にリスクを管理することが必要です。適切なモデレーションにより、ブランドの価値を高め、安全なイメージを構築することができます。

法規制の遵守とリスク回避

コンテンツモデレーションは、法律や規制を遵守するための手段でもあります。不適切なコンテンツが放置されると、企業は法的な問題に直面することになります。適切なモデレーションを行うことで、著作権侵害やプライバシー問題などのリスクを軽減し、企業の信頼性を維持できます。

以上から、コンテンツモデレーションは単なる「ルールの押し付け」ではなく、企業やコミュニティの健全な運営を支えるための重要な施策であるといえるでしょう。

高まるコンテンツモデレーションの重要性

昨今、生成AIやメタバースなど拡大・深化するデジタル空間でのSNSも含めた情報流通状況に関してあるべき姿を検討する「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 」では、2024年7月16日に出された中間とりまとめ案にて、健全性の確保手法としてコンテンツモデレーションが紹介されています。

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参照元: デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ(案)概要

政府のとりまとめがより具体化したら実行力が発生すると考えられますので、今のうちから少しずつガイドラインの作成など着手していくことをおすすめします。


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* 関連ブログの紹介 *

プラットフォーム事業者にガイドラインの公表など運用状況の透明化を求める「情報流通プラットフォーム対処法」が2024年5月に公布。
自社が適用されないのか?詳細は「「情報流通プラットフォーム対処法」とは?企業への影響・対策を解説!」をご覧ください!


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有人監視の効率化を図るために自社で有効な監視システムを積極的に自社開発し有人監視運用に導入しています。最近では、2024年5月にノーコード型画像認識AI「ROKA Custom」を開発、社会問題となった著名人を使った詐欺広告の検知に有効なシステムとなりました。このように監視したいコンテンツに合わせて最適なAIを提案しています。

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まとめ

今回はコンテンツモデレーションとはどういったものなのかを、具体的に解説しましたがいかがでしたでしょうか?

コンテンツモデレーションは、デジタルコミュニティの健全性を維持するための不可欠な要素です。適切なモデレーションにより、不適切なコンテンツの排除やブランドイメージの保護、ユーザー体験の向上を図ることができます。

また今後の政府の方針によっては実効性を持った対応が求められるかもしれませんので、今回の記事が何かのお力になれましたら幸いです。