情報流通プラットフォーム対処法の改正概要

 近年、インターネット上での誹謗中傷や著名人のなりすまし広告が深刻な社会問題となっています。この問題に対し、「プロバイダー責任制限法」の改正案(情報流通プラットフォーム対処法)が提出され、5月10日に参院本会議で可決、成立されたことが注目を集めています。

今回は、この改正案がどのような影響をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。

◆ プロバイダー責任制限法改正案の概要

 改正案では、XやFacebookなどの大手SNS事業者を筆頭にプラットフォーマーとされる巨大IT企業に対し、誹謗中傷や著作権侵害などの問題に対応するために「対応の迅速化」と「運用状況の透明化」の2つを義務付けています。具体的には、以下のような内容が求められています。


<< 改正法案のポイント >>
  1. 削除申出への対応の迅速化
    • 削除申出窓口・手続きの整備・公表
    • 削除申出への対応体制の整備(十分な知識経験を有する者の選任等)
    • 削除申出に対する判断・通知(原則、一定期間内:一週間程度)
  2. 削除等に関する運用状況の透明化
    • 削除基準の策定・公表(運用状況の公表を含む)
    • 削除した場合、発信者への通知

参照元:https://www.jimin.jp/news/information/207705.html


 対象となる事業者に海外企業が多いことから、日本に関する十分な知識や経験を持つ人員を配置するなどの具体的な体制整備や、申請などへの対応状況を毎年1回の公表も規定されています。

 また、改正内容に沿って法律名が「特定電気通信による情報流通で発生する権利侵害等対処法」へと変更され、通称名は「情報流通プラットフォーム対処法」となりました。施行は公布から1年以内とされています。

◆ 改正により考えられる事業者への責任と役割

 本改正法案が成立することで、SNSや掲示板などの交流サイトを運営する事業者の責任と役割が変化することが考えられます。これまではプラットフォーム事業者によって自主的に対応していた相談窓口の公開やそこでのユーザー対応が、法的義務として明確化されることになります。また、削除に関する基準の整備や公表も事業者側が行う必要があります。

安全なプラットフォームの運営を目指して

◆ まとめ

今回は新たに可決・成立した「情報流通プラットフォーム対処法」の概要や想定される事業者の責任などについて解説しました。ただ今回の法案対象となる”大規模なプラットフォーム運営事業者”の定義は現状では公表が無く、今後詳細があきらかになるとされています。引き続き弊社でも関連情報は注視し、動向に変化があればそれに応じた対応について情報を発信していきます。

今回の政府の動きから、規模を問わず同様なプラットフォーム運営事業を営む企業においては消費者の目が厳しくなることが予想されます。削除基準の策定・公表や申請窓口の公開など、ユーザーが安心して利用を継続できる利用環境整備をこの機会に是非ご検討ください。

弊社では、SNSをはじめとした各種インターネットメディアがユーザーにとって安心・安全な環境で運用されるよう、投稿監視やSNSリスク即時検知(風評調査)などのサービスを25年以上提供しており、不適切な投稿への監視基準の策定支援なども、お取引先企業の業界特徴に応じて行ってきた豊富な実績とノウハウがございます。それらのサービス提供に伴い発生するユーザーからの問合せ対応もあわせて実施可能ですので、今回の「情報流通プラットフォーム対処法」に応じた対応検討とあわせ、是非弊社サービスのご活用をご検討頂ければと思います。

※サービス詳細は下記URLよりご覧頂けます。

・投稿監視サービス
https://www.e-guardian.co.jp/service/net-patrol/manned/

・カスタマーサポート代行
https://www.e-guardian.co.jp/service/customer-support/user-support/